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最高裁判所第三小法廷 昭和24年(れ)2678号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意は、末尾に添えた書面記載の通りであって、これに対する当裁判所の判断は次の通りである。

論旨は、本件小作地に関する農地委員会若しくは知事の処分が違法、不当であったことを主張しているが、右の処分はその処分に対する適法な不服申立手続において取消されない限り有効であると解すべきであるから原審が原判示のように、被告人に対して器物毀棄、業務妨害ならびに農地調整法違反の犯罪の成立を認めたことについては何らの違法はない。また、論旨において主張するように仮りに本件小作地の賃貸借契約について合意解約若しくは賃借料滞納の事実があったとしても、この点に関する事実の主張は、旧刑訴法第三六〇条第二項に規定する事実上の主張には当らないから、原審がこの点について判断を示さなかったことに何らの違法はない。その他原判決には所論のような違法はないので、本件上告は理由がない。

よって、旧刑訴法第四四六条に従い、主文の通り判決する。

以上は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 長谷川太一郎 裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 穂積重遠)

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